
解体工事の日程が決まったあと、着工までにやることがあります。電気、ガス、水道、電話、インターネットを止める手続きです。
ここで最初につまずくのが、誰が連絡するのかという点です。
解体業者がまとめてやってくれると思っていると、着工の直前に慌てることになります。当社では、基本的に施主さんにお願いしています。
理由があります。これらの手続きは契約者本人からの申し込みが前提になっているためです。そして大阪の場合、連絡する先が電気とガスと水道でそれぞれ違い、水道はお住まいの市によっても変わります。
工事の前にやっておくこと全体は解体工事には「事前準備」が命に書いています。
連絡するのは、基本的に施主さんです
ライフラインの停止と撤去は、原則として建物の所有者が自らおこなうものです。
理由が2つあります。
1、契約者本人の意思確認が必要になります
契約を終わらせる手続きなので、契約者本人の明確な意思確認が入ります。代理の人からの申し出では進みません。
2、未払い料金の精算がついてきます
停止の手続きには、最後の料金の精算がついてきます。使った分の支払いが残っていれば、そこも合わせて片づけることになります。お金の話なので、契約者以外が代わりに決められません。
相続した家の場合、名義が亡くなった方のままになっていることがあります。この場合は、連絡したときに事情を伝えて、どう進めるかを確認することになります。
解体業者は、行政への申請など多くの手続きを代行します。 ただしすべての連絡を完全に代行できるわけではありません。 ここを業者任せにしていると、着工の直前に止まります。
施主さん自身が各管轄へ直接連絡を入れることが、スムーズな着工の第一歩になります。 代行してもらえる部分と、自分で動く部分を先に分けておいてください。
電気は、関西電力送配電に解体日の2週間前までです
大阪の場合、電気の引込線と電力量計の撤去は関西電力送配電が担当します。
連絡は解体日の2週間前までです。 解体日までに引込線と電力量計を撤去する必要があるためです。
契約中の場合は、先に契約を終わらせます
ここが分かりにくい部分です。
電気を使用中の状態では、関西電力送配電は解体の申し込みを受け付けられません。 まず契約先の小売電気事業者に、電気契約の廃止とあわせて建物解体の申し込みをすることになります。
電力自由化のあとは、契約先の会社と設備を管理する会社が分かれています。だから2段階になります。 ここを知らずに関西電力送配電へ直接かけると、契約先に連絡してくださいと案内されて、そこから日数が戻ります。
申し込みのときに聞かれることを先に用意します
手元に用意しておくものがあります。
- 住所
- 電気を使用していた入居者名(契約者名)
- 供給地点特定番号または電力メーター番号
- 撤去の希望日と解体日
- 連絡先
供給地点特定番号は検針票や契約の書面に載っています。 空き家で書類が見つからない場合は、契約先に住所を伝えて確認してもらう形になります。
期間に余裕を見ます
関西電力送配電は、設備の状況や各種法令の手続きによって、撤去工事に長期間を要する場合があるとしています。
2週間前というのは最低の期限です。電線が道路を越えている場合や、隣の敷地を通っている場合は、調整に時間がかかります。
ブレーカーを落としただけでは契約は終わりません。 基本料金がかかり続けます。撤去の手続きとは別に、契約の廃止が必要です。
ガスは、大阪ガスネットワークのガス導管ダイヤルです
都市ガスの場合、大阪ガスネットワークのガス導管ダイヤルが窓口になります。
水道は、市によって窓口が違います
ここが大阪で一番間違えやすい部分です。
水道は市町村の事業なので、窓口が市ごとに決まっています。そして大阪では、水道事業を大阪広域水道企業団に引き継いだ市町があります。
1、大阪広域水道企業団が窓口になる市町
岸和田市、高石市、忠岡町、八尾市、富田林市、柏原市、藤井寺市、大阪狭山市、泉南市、阪南市、熊取町、田尻町、岬町、豊能町、能勢町、四條畷市、太子町、河南町、千早赤阪村。
この19市町村は、市役所ではなく企業団が窓口です。岸和田市と高石市は2025年4月に統合されました。
2、市が独自に運営している市
大阪市、堺市、貝塚市、和泉市、泉佐野市など。
こちらは各市の水道局や上下水道部が窓口になります。
3、泉大津市は、まだ市の水道課です
泉大津市は2027年4月1日に企業団へ統合される予定です。 2026年の時点では市の水道課が窓口になります。
つまり隣の市でも窓口が違います。 岸和田市の現場なら企業団、泉大津市の現場なら市役所です。
撤去工事は、指定給水装置工事事業者が届出します
もう1つ注意点があります。
給水装置とは、水道局の本管から分かれた先の設備のことです。 水道管、メーター、蛇口などが入ります。
この撤去工事は、指定給水装置工事事業者という登録を受けた業者を通じて、水道局へ届出をします。 施主さんが直接工事を申し込むものではありません。
無届の工事が発覚した場合は処分の対象になります。 だから水道については、業者側で届出をおこなう部分と、施主さんが使用の中止を連絡する部分に分かれます。
水道は、工事が終わるまで止めません
水道だけは、ほかと扱いが違います。
解体工事では、ほこりの飛散を防ぐために散水をします。 その水を使うため、着工前に止めません。工事が終わってから停止と撤去の手続きに入ります。
残すかどうかを決める部分もあります。 次に家を建てる予定があるなら、水道メーターと給水管を残して整地してもらう形になります。言わなければ重機で引きちぎられ、あとから引き直すのに10万円から数十万円かかります。ここは解体後の整地費用に書いています。
電話とインターネットは、契約先に連絡します
固定電話はNTT、インターネットは契約しているプロバイダーやケーブルテレビの会社が相手です。
解約と撤去の両方を伝えます。 解約だけでは機器や配線が残る場合があります。
空き家で契約が残っているかどうか分からないこともあります。請求が続いているかどうかを通帳や明細で確かめると分かります。
役所への届出は、業者の仕事です
ここは施主さんがやるものではありません。
解体工事には役所への届出がいくつかあります。
- 建設リサイクル法の届出
- 石綿(アスベスト)の事前調査結果報告
- 道路の通行許可
これらが不十分だと、市役所の環境指導課がおこなう工事パトロールで工事が止まることがあります。 工期が遅れるだけでなく、追加の費用が出ることもあります。
だから見積もりのときに、どの届出を業者側でやるのかを確認してください。 当社が見積もりの前に何を調べているかは正確な見積もりをつくるためにやってることに書いています。
着工日から逆算して連絡します
やる順番を整理します。
まず電気です。 解体日の2週間前が期限で、しかも契約中なら小売電気事業者を通す2段階になります。設備の状況によって長くかかることもあるので、日程が決まったらすぐ動く対象です。
次にガスです。 都市ガスなら大阪ガスネットワークのガス導管ダイヤル、プロパンなら設置業者に連絡します。
電話とインターネットも、この時期に進めます。
水道は最後です。 工事中に散水で使うので、終わってからになります。ただしメーターと給水管を残すかどうかは、着工前に業者へ伝えておく話です。
よくある質問
ライフラインの手続きでいただく質問です。
Q: 業者が全部やってくれるものだと思っていました。
A: 契約の解約には本人の意思確認と料金の精算がついてくるので、施主さんにお願いしています。見積もりのときに、どの手続きを業者側でやるのかを一覧で出してもらってください。残りが自分の担当分になります。
Q: 契約者が亡くなった親のままになっています。
A: 連絡したときに事情を伝えて、どう進めるかを確認してください。相続人であることを示す書類を求められることがあります。日数がかかる場合があるので、早めに動いてください。
Q: 空き家で、電気の契約がどこの会社か分かりません。
A: 検針票や通帳の引き落としの記録から分かります。見つからない場合は、関西電力送配電に住所を伝えて確認してもらう形になります。
Q: ブレーカーを落としているので、もう止まっていますか?
A: 止まっていません。ブレーカーは建物の中の電気を切るだけで、契約は続いています。基本料金もかかります。契約の廃止と撤去の手続きが別に必要です。
Q: ガス会社に「止めてください」と伝えました。それで足りますか?
A: 使用停止の手続きだけになっている可能性があります。解体に必要なのは敷地の境目でガス管を切り離す工事です。「地境撤去をお願いします」と伝え直してください。
Q: 水道の窓口が市役所なのか企業団なのか分かりません。
A: お住まいの市で変わります。岸和田市、高石市、忠岡町は大阪広域水道企業団です。泉大津市は2026年の時点では市の水道課です。貝塚市、和泉市、泉佐野市、堺市は各市の窓口になります。
Q: 水道は着工前に止めなくていいのですか?
A: 止めません。工事中にほこりを抑えるための散水で使います。工事が終わってから停止と撤去に入ります。
Q: 解体のあとに家を建てます。水道は全部撤去されますか?
A: 伝えていなければ撤去されます。残したい場合は、水道メーターと給水管の位置を指定して、残して整地してもらうよう着工前に伝えてください。
Q: 間に合わなかった場合、工事はどうなりますか?
A: 着工できません。電気の引込線が残っている状態で重機を入れることはできないためです。日程が決まったら、まず電気から動いてください。
まとめ
日程が決まったら、最初にやるのは電気の連絡です。
関西電力送配電へ、解体日の2週間前までに。 そして契約中なら、先に契約先の小売電気事業者へ廃止と解体の申し込みをします。2段階になるので、ここだけ日数の読み方が違います。
ガスは大阪ガスネットワークのガス導管ダイヤルへ、「地境撤去」と伝えます。使用停止とは別の工事です。
水道は市で窓口が変わります。岸和田市や高石市は大阪広域水道企業団、泉大津市は市の水道課、貝塚市や和泉市や泉佐野市は各市です。そして水道だけは、工事が終わるまで止めません。
これらの連絡は施主さんにお願いしています。一方で役所への届出は業者側の仕事です。どちらの担当なのかが分からないまま日程が近づくと、着工が延びます。 見積もりの段階で、どこまでやってもらえるのかを確かめておいてください。
