
古くなった建物を解体することは、単に「壊す」作業ではありません。そこには費用や税金の問題、家族の思い出、そして地域の安全や景観維持といった多様な課題が関わっています。サポートプランでは、解体を「次の扉を開く仕事」と位置づけ、ご依頼いただくお客様に真摯に向き合っています。
今回のインタビューでは、サポートプランの塩田代表が、建設業に30年以上携わった経験を通じて培った仕事観や想い、YouTubeでの発信活動を始めた背景、そしてお客様への向き合い方についてご紹介します。
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解体のリアルを伝えたい。YouTubeを始めたきっかけ
2019年からスタートした『解体チャンネル』では、塩田代表自らが出演し、解体工事に関する様々な情報を発信・解説しています。建設現場や重機に関するYouTubeチャンネルは多いものの、解体現場・解体工事に特化したYouTubeチャンネルはそれほど多いとはいえません。
塩田代表がYouTubeでの発信を始めたきっかけは、何だったのでしょうか。
「建設業界は、『荒っぽい』『仕事が雑』『儲かっている』『いい加減な仕事をしそう』といったイメージを持たれやすいんです。なかでも特に解体業は『柄が悪い』とまで言われることも少なくありません。実際はそんなことないのに、固定観念だけで判断されてしまうのがずっと悔しかったんです。そこで、解体業の実態や思いを伝える手段としてYouTubeを始めました」

現在、チャンネル登録者数は約8000人。建設業者や関連業者向けではなく、一般の方に対してわかりやすく解説する動画がメインで、見積もりの取り方や相場、計算方法など、見積もりに関する動画が人気だそう。
普段、一般の方はなかなか解体業の人と関わることはありませんが、いざご自身の所有している建物を解体しなければならなくなったときには、解体業者に必ず依頼をする必要が出てきます。解体工事は決して安い金額ではないため見積もり額も心配ですが、工事中の近隣住民への影響や工事内容、現場スタッフの対応など、業者選びは慎重に行わないといけません。「解体は、思い入れのある家や建物を解体するという、ただでさえデリケートな工事。少しでもお客様の心配を減らし、業者選びの参考やトラブル回避のお手伝いになれば」と発信を続けているそう。
塩田代表は、YouTubeを始めたことでお客様との関わり方に変化が出てきたと言います。
「お客様から『解体工事の流れが分かった』『業者選びの参考になった』と声をいただけるようになったことは、YouTubeを始めたことで得られた大きな収穫です。一方で、『きれいごとを並べているだけだ』『そうは言っても、実際の現場では無理だろう』といった批判コメントをいただくことも。でも、そういう意見もから学ばせてもらうこともたくさんあるからありがたいです。批判を受け止めて改善につなげることで、仕事への姿勢も磨かれてきたと思います」
解体は、「終わり」じゃなくて「始まり」なんです。
建設業に携わって30年以上。そもそも、塩田代表が建設業界に入られたきっかけはなんだったのでしょうか。
「高校時代、飲食店で初めてのアルバイトをしたんです。でも、あちこちの席から注文が飛び交う飲食店特有の忙しさに対応できなくて、こういう仕事は自分には向かないなぁと思いました。そこで、体を動かすのが好きだし体力にも自信があったので、1日一生懸命体動かして働けば1万数千円もらえる日雇い労働に挑戦しました。最初は本当に1日だけのつもりだったのですが、なんだかハマってしまって。そのまま建設業界に入り、20歳そこそこで土木の現場監督になり、以来30年以上建設の現場にいます」

解体工事を得意とするサポートプランですが、土木や外構や塗装をはじめとした多数の建設業許可を取得しており、これまで数多くの企業様や公共工事の実績があります。
そんななか、2018年に発生した台風21号によって大阪市内を中心にたくさんの家屋が被害を受けたことで、解体工事の依頼も増え、解体で悩むお客様と接するうちに、徐々に解体工事に重きを置くようになったそうです。
「古い家を解体するとなると、大なり小なり皆さん不安や心配、寂しさも感じられます。解体はデリケートな工事です。だからこそ丁寧に仕事をさせてもらいますし、最後に「ありがとう」と言われたときは本当に嬉しいですね。工事が終わってからも、年賀状をいただいたりお中元をいただいたり、LINEで「子どもが生まれました」と近況を報告してもらったり。解体工事自体は一度きりのお付き合いですが、そこから人の繋がりが続くこともあります。それが仕事のやりがいになっていますね」

「これまで放置されていた古い建物が、更地になってすっきりする。そこに新築住宅が建ったり駐車場ができたりと、新しい可能性が広がっていく。解体は“終わり”ではなく、“始まり”なんです」
そんな解体の仕事を、塩田代表自身は「かっこいい」と感じているといいます。
「夏は暑くて冬は寒いし、埃まみれになって働いている人ばかりなので、見た目も含め荒っぽいというイメージは確かにあります。マイナスな印象を持たれがちですが、実際はそんな人ばかりじゃないことを私はよく知っているので、現場ではもちろん、YouTubeなどを通してより多くの方に伝えたいと思っています。過酷な労働環境で努力しているだけあって、人間味があり思いやりがある人、人の気持ちがわかる人も多い。泥臭くて、かっこいいですよ」
費用、思い出、税金。お客様が抱える悩みとの向き合い方

思い出の詰まった家や、長年放置していた建物を解体してしまうことに対し、お客様の想いもさまざま。それゆえ、業者選びや工事そのものに悩んだり苦労されたりするお客様も多いそうです。
「多くの方はやはり費用で悩まれます。少し前までは、2、3社に見積もりを依頼してから業者を決めるのが一般的でしたが、今は業者のマッチングサイトなどがあり、たくさんの見積もりを一度に簡単に取れるようになりました。一社ずつ問い合わせて見積もりを取る手間がなくなった代わりに価格競争が激しくなり、「もっと安くなるのでは」と考える人が増えて、結果的に金額面だけで判断して業者選びを間違えてしまうパターンもあります」
解体工事の費用の内訳は、重機や足場の費用、人件費、経費、そしてゴミの処分費用があり、なかでもゴミの処分費用は全体の4割を占めます。価格を下げようとすると、重機や足場代、経費など絶対に必要な項目以外の、人件費やゴミの処分費用を減らすしかなくなります。低価格を売りにした解体業者のなかには、分別解体を行わず重機で一気に取り壊し、何もかもごちゃ混ぜにし、不法廃棄するような業者も。人件費を減らすと工事の人数が減り、事故が増えたりスケジュール通りに進まなかったり、近隣への対応が不十分になることも。

「相続した土地や家を、兄弟で所有している場合、それぞれの意見が違って揉めておられるケースも多いですね。思い出が残る家を壊すので、当然葛藤もあります。ほかにも、家の中に残った遺品やアルバム、仏壇などが手放せなくて解体に踏み切れないとお悩みの方もよく聞きます。当社は遺品整理業者ではありませんが、思い出のこもったものを処分される際にはお寺や神社をご紹介することもあります。やっぱりお客様が納得した状態で解体してほしいですから。ただし、丁寧に処理するほど費用も上がりますので、そこは慎重に考えていただくようお伝えしています」
長年、建設現場での現場監督を経験されてきたため、解体工事や建設業全般の法律や税金にも詳しい塩田代表。お客様のなかには、法律面や税金の面で悩まれている方もいらっしゃるそうで、さまざまなアドバイスをされるそうです。
「実は、建物を残しておいた方が固定資産税は安いんです。家を解体すると更地扱いになり、翌年から税額が上がる。だから「解体したいけど税金が…」と躊躇する人も多いですね。では、さっさと解体してしまった方がお得なのかというと、そうではありません。タイミングを誤ると余計に負担が増えることもあるので、詳しくアドバイスをさせていただくこともあります。アドバイスさせてもらったお客様も、最後は金額面で折り合いのついた業者さんの方を選ばれたりして、悔しい思いをすることもたくさんあるんですけどね(笑)」
人と人とのつながりを第一に。解体の現場で大切にしていること

サポートプランでは、ほぼすべての現場に塩田代表が自ら伺い、最初から最後まで責任を持って対応しています。お客様と向き合う仕事だからこそ心がけている、塩田代表の仕事観を伺いました。
「仕事で関わった人が割りを食わないようにすること、ですね。たとえば、費用面でお客様の負担を少しでも減らしてあげたいですが、会社としてきちんと利益を出さないと、従業員や協力業者さんに適正なお仕事をお願いできません。一生懸命頑張って働いているのに厳しいばかりで給料が低いと、現場の人間は気持ちよく仕事ができないし、従業員の家族も辛い思いをしてしまうし、最後には辞めてしまう。すると、工期が遅れたり人が足りなくなったりして、結果的にお客様に迷惑がかかる。そんな悪循環はあってはいけませんから」
お客様には適正価格を提示し、会社としてしっかりと利益も出して、社員にもしっかりとお給料を支払って、仕事をきっちりとやり遂げる。当たり前のことを、当たり前に、誠実に仕事をすることが塩田代表のポリシーだといいます。
そのため、解体工事を始める前後には、近隣を一軒一軒回ってご挨拶をし、細心の注意を払って工事を進めていますが、ときにはお隣の方から工事中に注意を受けたりすることもあるそう。
「近隣トラブルが起きたことへのお詫びとして解体費用から数十万円値引きします、とお金で解決することは簡単なのですが、お客様はこの先もその土地で住んでいかれるので、近隣の方と会うたびに嫌な顔をされたり近所で嫌な噂が立つなんてことは避けたいじゃないですか。私はできるだけ近隣の方へのお詫びに同行したりして、気軽に『おはよう』の一言が交わせるところまで関係性を取り持つようにしています。ご本人同士だったらうまく進まない話も、私たちのように専門業者が入ってきっちり説明することで、納得していただいてスムーズに進むこともあるからです」

「この仕事は、やっぱり人と人とのつながりが大切です。人との関係が崩れると仕事は回りません。人を大切にして丁寧に仕事をすると、お客様から信頼も得られ、もしかしたらお知り合いをご紹介していただくなど、いつか別の仕事につながるかもしれないですから。でも何よりも、『しっかりした値段を提示されたけどその分しっかりと仕事をしてくれて、すごく安心できたわ』と言っていただくのが好きなんです。そのほうが、私は胸を張って仕事ができますね」
インタビュアー:コマツマヨ