空き家の処分で一番大切なのは「心の整理」をすること。
ただ建物を潰すだけじゃない。最後はやっぱり“人”ですよね

株式会社サポートプラン代表 塩田 宗臣
インタビュー

建物が老朽化し建て替えが必要になったとき、倉庫に建て替えたいとき、駐車場・畑にしたいときなど、今ある建物を取り壊して更地にする解体工事。
泉大津を中心に京阪神一円で解体工事を行っている株式会社サポートプランの代表・塩田さんは、「解体工事で大切なのは、やっぱり“人”だと思う」といいます。解体工事のお仕事や業者選びのポイント、空き家の処分についてお話を伺いました。

どんな仕事でもトラブルは起きるもの。
あらゆるトラブルを予測し、大きな問題に発展する前に対処する

株式会社サポートプランは、解体工事を中心に、マンションや住宅、施設の建設、道路工事や公園、河川など公共工事など土木工事全般を得意とする総合建設業です。
「もともとは建設会社で長く現場監督をしていました。個人の住宅から大規模な建築物の建設、道路工事、橋の建設などあらゆる現場に携わった経験があります。サポートプランとしては土木工事全般を請け負っていますが、解体工事のご依頼をたくさんいただくので解体工事が中心事業となっています」
建設業界で30年以上の経験を持つ塩田さん。解体工事のトラブルで最も多いのが、近隣住民からのクレームだそうです。

「解体工事には騒音や振動、粉塵の問題は必ずつきまといます。重機やトラックが行来することで付近を通る人の迷惑になったり工事現場の泥を引きずったりすることもありますし、ほんの少しのミスで隣接する建物や住居を壊してしまうことにもつながりかねません」

インタビュー

近隣への影響が大きい解体工事において塩田さんが常に頭に置いているのは、“自分が隣の家に住んでいたらどうか”ということ。サポートプランの強みは、長年の経験から解体する建物の種類や規模、場所によってどのような問題が起こり得るのかを予測し、トラブルを未然に防ぐことができるところです。

「どんな仕事でも問題は必ず起きてしまいます。でも、問題を放置したままにするから大きなトラブルに発展してしまうんですね。経験上、どういったことがトラブルにつながるのかをある程度予測できますので、近隣の方々への説明やスケジュールの厳守などをはじめ、細心の注意を払った慎重な工事、丁寧な作業を心がけています。当たり前のことなのですが、この当たり前のことがとても難しいんですよね」

解体費用の約4割がゴミ処分費用。
見積もり額だけで判断して欲しくない、解体業者選び

「解体作業というと重機で建物をグシャっと潰して瓦礫を運び出すイメージもあるかと思いますが、解体の基本は分別解体です。畳や襖など内装を全て取り外し、瓦を下ろし、窓は窓枠ごと取り外し、断熱材を剥がし、最後に重機で取り壊します。瓦は瓦、ガラスはガラス、木材は木材といったように取り除いた廃棄物は種類ごとに分け、決められた方法で適切に処分をします」

けして安くはない解体費用。できるだけ低価格で工事を依頼したいと考える方も多いでしょう。しかし、塩田さん曰く、見積り価格重視で解体業者を選ぶとリスクが高くなるのだそう。低価格を売りにした解体業者のなかには、分別解体を行わず重機で一気に取り壊し、何もかもごちゃ混ぜにして廃棄するような業者も。これが昨今問題となっている不法投棄や無許可での埋め立ての原因となっているそうです。

「解体費用の内訳は、重機や足場の費用、人件費、経費、会社の利益、そしてゴミの処分費用。なかでもゴミの処分費用は全体の4割を占めます。価格を下げようとすると、重機や足場代、経費など絶対に削ることができない項目以外の、人件費やゴミの処分費用を減らすしかありません。人件費を減らすと工事の人数が減り、事故が増えたりスケジュール通りに進まなかったり、近隣への対応が不十分になることもあります。」

「ゴミの処分費用を減らすとなると、時間もお金もかかる分別解体はせず何もかも全て一緒くたに捨てるしかなくなります。廃棄物処理場は家庭ゴミの収集業者よりもさらに厳しく、分別されていないものは一切引き取ってくれませんので、結果的に不法投棄や無許可での埋め立てにつながっていきます。不法投棄は業者だけでなく依頼主まで責任を問われてしまうこともありますし、それが原因で災害へと発展してしまうことも。建設業界が古い体制なのでいまだにそうしたことを行う業者もいて、業界全体の問題だと感じています」

「また、分別せずに建物を一気に壊すと、コンクリートやガラスの破片、木材などの廃棄物が更地になった場所に残ることになります。そもそもゴミや瓦礫の上に新しく家を建てるのっていい気はしないですよね。数千万円という大きなお金を出して建てた大切な家の下に瓦礫が埋まっている、庭を掘ればゴミが出てくる、庭で子どもを安心して遊ばせることができない、そんな状況って悲しいじゃないですか。解体したあとも、その土地はずっと人に使われていきます。危険ではない状態にするのはもちろん、適切な方法で工事を行うことは最低限のルールです」

どこに何を相談していいかわからない。
空き家の処分に踏み切れない人の背中を押してあげる「空き家相談」

空き家を持っているけれど処分がなかなかできない、処分したいけれど何から始めればいいかわからない、とお悩みの方が増えています。こうした方々がスムーズに空き家を処分することができるよう、サポートプランでは『空き家相談』も行なっています。

「たとえ建物に価値がなくても、土地が売れれば空き家問題は比較的スムーズに解決できます。困難なのは土地が売れない場合。数百万円の処分費用を全て負担するのは経済的に厳しいと二の足を踏む人も少なくないですね」

両親から空き家を相続したが兄弟間で意見が食い違っていて話が前に進まないという方もいれば、思い出の詰まった家を処分することに抵抗を感じる方もいるなど、空き家の処分を決意できない理由はさまざま。放置したままではいけないと分かってはいるもの、なかなか決断できないという人が多いのだそうです。

「空き家の処分で一番大切なことは、心の整理をすることだと思っています。長年放置された家であっても、たとえ家の中にガラクタしか残されていなくても、それらの全てがご家族の大切な思い出です。だからこそなかなか心の整理がつけられない。処分したいとは思うものの、何から始めればいいのかわからない、どこに何を相談していいかわからないまま何年も悩み続け、それがストレスとなって心が弱ってしまっている方からご相談を受けることもあります」

最後はやっぱり“人”ですね。
ありがとうと言われたいし、言ってもらえる仕事したい。それが良い解体業者だと思う

「引越し業者に例えてもらえればわかりやすいと思います。ただ物を運ぶだけの作業ですが、良い業者は建物や家具には傷をつけず、スケジュール通りに迅速に作業を行い、近隣の対応もきちんと行ってくれますよね。しかし価格重視で業者を選んでしまうと、スケジュールが守られなかったり、家具が破損したりものが無くなったりしても保証してもらえなかったり、近隣からクレームが入ることも考えられます。解体業者も同じで、建物を潰す以外の部分まできちんと仕事をする業者を選びたいですよね」

見積もりに“工事一式”としか書かれておらず詳しい内訳がない、急に予定を変更する、十分な打ち合わせがないまま工事に取り掛かろうとするなど、低価格の業者はそのぶん工事の質が低くなる可能性も。また、現場を調査せず他社の見積もり金額を聞いただけで『これより安くしますよ』と安易に答える業者にも注意したいところ。

「解体工事は業者に任せきりになるので、実際にどのようなことをしているのかお客様にはわかりません。つまり、見えないところでどうとでもできてしまう。価格だけで選ぶと、値段を下げる代わりに雑な工事を行うような業者しか残らなくなります。工事内容を詳しく説明してくれているか、こちらの疑問をきちんと解消してくれるか、見積もりの内訳は詳しく書かれているか、スケジュールを守っているかなど、お客様が安心して依頼できるような気遣いができているかどうかが良い業者を見極めるポイントだと思います」

空き家は解体すればそれで終わりというわけではありません。解体後、その土地をどんな用途で使用するのかによってすべきことは異なります。建設業30年以上の経験のなかで培った豊富な人脈により、解体を窓口とした総合的なサポートが可能です。

「土地を売りたいのであれば不動産業者、新たに家を建てたいのであれば工務店やハウスメーカー、税金関係で相談したいのであれば税理士、登記関係なら司法書士、測量や土地の境界のことなら土地家屋調査士、トラブルを抱えているのであれば弁護士や行政書士と、必要に応じた専門家をご紹介することができます」

ほかにも設計事務所やプランナー、NPO法人など塩田さんの周りには信頼できる有資格者がたくさん。誰に相談したらいいのかわからない、という漠然としたお悩みも、塩田さんに声をかければきっと解決の糸口が見つかるでしょう。
「解体業は建物を潰す仕事ですが、やっぱり最後は“人”だと思うんです。誠実な仕事をすれば、お客様がまた新たなお客様を呼んでくれます。『サポートプランさんはいい仕事をしてくれたよ』と言ってもらえます。すぐに次の仕事に繋がるわけではないけれど、そういうささいなことが大切だと思っています。小さなことをコツコツ積み重ねていくことが、仕事をする上で一番大事なことなんじゃないですかね」

インタビュー:コマツマヨ
撮影:洞 テツヤ