
所有している空き家の解体を検討しているけれど、費用が心配——。そんな方にぜひ知ってほしいのが、解体工事に活用できる補助金制度です。
補助金対象となる条件やルールは自治体によって異なりますが、条件を満たせば数十万円単位の補助が受けられることも。ただし、申請のタイミングや業者選びを誤ると、補助金が受け取れないケースもあります。
補助金を活用した解体工事の経験が豊富なサポートプラン・塩田代表のお話をもとに、
補助金の種類や金額、注意点などを解説します。
「空き家であること」の基準は?補助金の対象となる建物
解体工事に活用できる補助金には、一般的な木造住宅で空き家になっている建物に適用される補助金と、老朽化が激しい『不良空き家』と呼ばれる空き家に適用される補助金の2種類があります。
・木造住宅除却補助制度(一般的な空き家)
老朽化した空き家を所有者または相続人が解体する場合に、最大30万〜100万円前後の補助金を受けられる制度。「空き家等除却補助金」「老朽危険空家除却事業補助金」など自治体により名称が異なり、補助金の内容や上限金額、申請条件も自治体ごとに異なります。
・老朽危険家屋解体撤去補助金(不良空き家)
老朽化によって倒壊や火災の危険性が高まっている空き家の解体費用を補助する制度。住宅関係の法令における「不良家屋」に該当する場合や、自治体の判定基準に該当する場合が補助対象です。補助限度額は30万〜100万円程度。

「日本の戸建て住宅のほとんどが木造住宅です。木造住宅は軽量鉄骨や鉄骨・鉄筋コンクリートの住宅に比べて劣化しやすく、空き家のままで放置すると近隣に悪影響を及ぼしかねない『不良空き家』となり、倒壊や火事などの危険が増してしまいます。自治体としても、なるべくそういう建物を減らしていこうということで、補助金制度が設けられました。対象となるのは、新しい基準が制定された、昭和56年6月1日より以前の住宅です。店舗として使われていた建物は対象外ですが、店舗と住宅が併設されている建物の場合は、住宅部分の割合に応じて補助額が算出されたり、延床面積の過半が住宅であることが条件になったりするケースがあります」
では、具体的にどのような状態になれば「空き家」と認められるのでしょうか。塩田代表曰く、「具体的な空き家の基準は、実はない」といいます。

「空き家であるかどうかは、補助金制度を管轄している自治体の担当者・責任者の判断になります。しかし、一つの基準として、水道を廃止して1年経っているか、その間に人が生活する程度の使用量があるかどうかなど、水道メーターの使用量などを判断基準にしている自治体は多いと思います。電気やガスが使われていないことも人が住んでいないことの目安になりますが、トイレや風呂、料理など、水道が最も生活に直結しているものだからです」
補助金の金額と査定(現地調査)の仕組み

補助金制度の要項には「最大〇〇万円」というような表記がありますが、実際に交付される金額は建物の面積や立地条件、建物の傷み具合によって異なります。その傷み具合を判断するために、自治体による査定(現地調査)が行われます。
【解体補助金の主な査定項目】
自治体が実施する、補助金の査定(現地調査)では、主に以下のような箇所がチェックされます。
- 構造体の傾き・腐朽: 柱や梁の歪み、土台のシロアリ被害など
- 屋根・外壁: 瓦のズレや割れ、外壁のひび割れ・剥がれ
- 基礎: コンクリート部分の大きなクラック(ひび割れ)や沈下
- 外部造作: ベランダの腐食、窓サッシの歪み、軒天の剥がれ
- 近隣へのリスク: 倒壊時に道路や隣家へ被害を及ぼす可能性
これらは一般的な項目ですが、自治体ごとにさらに詳細な基準が設けられ、基準に沿って点数化され、合計点数によって査定されます。
各自治体のホームページに、詳しい情報が掲載されているので、自分の所有する空き家の地域の情報を確認してみるといいでしょう。
解体を始めるタイミングと業者選びの注意点

補助金は工事完了後に支払われるので、まずは施主が解体費用を全額立て替え、工事完了後に補助金を受け取ります。そのため、解体業者との契約は、補助金の交付が確定してから行います。申請後、数週間〜1ヶ月程度で「決定通知書」が発行されますが、これが発行される前に解体工事を始めてしまうと補助金が交付されなくなります。
「お客様のなかには、工事前に補助金が交付されると思っていらっしゃる方もいます。そのため、手持ちの資金がなく、せっかく申請が通ったのに解体資金が払えない、ということが起こってしまいます。国としても、こうしたケースを想定し、『代理請求(代理支払い)制度』というものを設けています。補助金の申請書類の該当部分にチェックを入れておくことで市役所から解体業者へ補助金が直接支払われるといった仕組みですが、申請時に手続きをしておかないと適用されないため、項目を見落とさないよう注意が必要です。これらの制度はぜひ活用していただければいいですが、何かあった時のためにも、やはり解体費用を用意しておくというのが大前提ですね」

多くの自治体では、地域経済の活性化を目的として、解体地の自治体内に本社や本店がある業者が施工することを補助の必須条件にしているところもあります。「市内業者なら上限30万円、市外業者なら申請不可」といったように、市外の業者に依頼はできないといった厳しいルールを設けている自治体もあるので、補助金を申請する際には建物の状態だけでなく「どの解体業者に依頼するか」もチェックしておきたいものです。
また、当然ながら建設業許可(解体工事業)を持っている業者、または都道府県に「解体工事業登録」を正しく行っている正規の業者でなければ補助金の対象にはなりません。
「補助金の申請が通るのと、補助金が交付されるのは別問題。補助金を申請しても、依頼した業者が条件を満たしていなければ、補助金は1円も受け取れません。補助金を活用した工事の経験が豊富な業者であれば、各自治体の細かいルールや金額に関する知識を持っていますが、場数を踏んでいない業者だと各自治体による細かいルールまでは把握していないこともあります」

「木造住宅でも長屋は補助金の対象外だったり、申請者と建物の所有者が異なる場合は申請が交付されなかったりと、自治体によって細かいルールが異なります。すでに亡くなっている家族の名義のままになっている、または名義人が存命でも入院していたり施設に入っていて本人による申請ができない場合などの代理申請ができない自治体もありますし、『補助金交付の決定の通知を受けてから●日以内に着手してください』というルールがある自治体もあるにもかかわらず何らかの問題で工事が滞って補助金が交付されなかったり、酷いケースでは解体業者が途中で倒産したり解体業者が解体の途中で行政処分を受けたりと、施主の力ではどうにもならないようなトラブルに見舞われる施主様も中にはいらっしゃいます」
補助金の申請を行う場合は、必ず自治体の募集要項を確認し、業者側にも「補助金を使いたい」と事前に伝えておくといいでしょう。
より安心な補助金申請のために。行政書士活用のススメ

「申請ルールや業者選びの基準をクリアしていれば誰でも補助金が交付されるというわけではありません。自治体によって枠(予算)が決められていて、いわば先着順です。自治体は4月1日から新年度が始まるため、補助金制度の募集も年度始めからスタートするところが多く、予算が上限に達したら終了してしまうので、申請するタイミングによってはすでに枠が埋まってしまっていることも。申請のタイミングも、慎重に考えておくべきです」
予算が限られている自治体の場合は、補助金が終了するのも比較的早め。できるだけ早急に申請し、確実に補助金を受け取りたいものです。しかし、自治体の窓口は基本的に平日しか空いていないので、仕事を休んで申請を行う人も多いでしょう。苦労して準備した書類にもし不備があり、再度休みを取って申請をしようとしたら、募集枠が終了してしまっている……なんてことも無きにしも非ず。
スムーズに補助金申請を行うためにも、サポートプランでは行政書士に依頼することをおすすめしています。

「解体業者の中には『補助金の申請をサポートします』と謳う業者もいますが、官公署に提出する書類の作成や提出代行を有償(報酬を得て)で行うことは、行政書士の独占業務です。つまり、解体業者が補助金申請の業務を代行し、報酬を得ることは違法に当たります。そのため、補助金申請の代行費用は取らない代わりに、見積もり額を全体的に高く設定している業者も残念ながら存在します。いくら補助金申請の経験が多くても、やはり専門家ではないので確実性やスピード感が違いますし、書類の不備などのトラブルに対応できないかもしれません。万が一トラブルがあったときに、最終的に困るのは施主さんですから、多少費用はかかっても許可・申請の専門家である行政書士に依頼するほうが、間違いが少なく安心です。ご希望であれば、行政書士のご紹介もしています」
補助金との正しい付き合い方——自分の家のことは、自分が考える

補助金の申請は、先述のように、建物の所有者であり、解体工事を依頼する本人が行うものです。自分の所有する建物が補助金の対象かどうかのチェック項目や、判定基準が書かれた資料(調査票など)を自治体のホームページからダウンロードすることができますので、まずは申請に関する資料をご自身で確認してください。
そして、わからないことがあれば市役所の担当窓口に質問するのも一つの方法です。
「自治体の制度なので、補助金の申請に関しては自治体の担当者が一番詳しいんです。わからないことがあれば、窓口の担当者に聞くのがいちばん。ただ、何の準備も無しに役所に行って『一から教えてください』では、担当者も何をどう教えればいいのかわかりませんよね。必要書類をある程度準備した状態で、事前に電話確認をするなどして、担当者に相談するのがいいでしょう」
ただ家を壊すだけ、と思われがちな解体工事ですが、補助金の申請をはじめ、基本的には工事を依頼する施主本人に責任が生じるのだと、塩田代表は言います。
「自分の家は自分で整理する、処分する。これが解体工事の大前提です。サポートプランは、解体工事はもちろん、公共工事など建設工事の実績も豊富なので、できるだけのサポートやアドバイスはさせてもらいます。しかし、何かあった時の責任はお客様自身にかかるわけですから、解体業者や行政書士に任せきりにするのではなく、ご自身も補助金や工事に関する情報を調べた上で、工事を依頼されると安心ですし、悪い業者に当たるリスクも減らすことができるのではないでしょうか」












