「もし、この家を解体するなら?」妄想解体シミュレーション#1

⾃宅の解体を検討される際、「うちの場合、どのような⼯事になるのかな」「⾒積額はいくら
ぐらいなんだろう?」と気になったりしませんか?
実際にある建物を元に、「もし、この建物を解体するならどうするか」という視点で解説し
ていく『妄想解体シミュレーション』。今回は、⼤阪府泉⼤津市にある実際の物件を解体物
件と想定し、サポートプラン代表の塩⽥が、外観チェックから内部の状態、近隣対応、そし
て費⽤に影響するポイントまで、現地調査でチェックする項⽬をリアルに解説していきま

今回の妄想解体物件概要

  • 泉⼤津市某所の⼀般住宅
  • ⽊造2階建て
  • ⽡葺き
  • 約40坪
  • 3LDK
  • 内装リフォーム済み
  • 庭あり

今回の物件は、株式会社サポートプランの事務所として使⽤している⽊造2 階建ての⼀般
住宅です。解体⼯事⾃体はさほど難しくない物件だと予想するものの、敷地へ⼊る道路幅の
狭さ、近隣との境界線、過去のリフォーム歴など、気をつけるべきポイントはたくさん。
さっそく、解体のプロの視点で⾒ていきましょう。

1、外回りのチェック─まず確認すべきは境界線

境界線と所有者の確認

建物を解体する際に、まず確認するのが⼟地の境界線です。どこまでが⾃分の敷地で、どこ
からが隣家のものなのかを曖昧にしたまま⼯事を進めると、⼯事が進んでからトラブルに
発展する可能性もあるからです。
例えば、フェンスやブロック塀などの境界線として使⽤されているもの。隣家との境⽬に⽴
てられている塀は、相⼿側の所有物なのか⾃分側の所有物なのか、あるいは隣家との共有物
である場合もあります。共有物である場合、勝⼿に解体すると当然トラブルに発展するため、
塀をどうするか隣家の⽅との話し合いが必要です。
⾃⾝の所有物であった場合も、残しておくのか、建物と⼀緒に解体するのかも判断が必要で
す。現在の建築基準法では、安全のためブロック塀の⾼さを1.2メートルまでと定められて
います。それ以上の⾼さがある場合は、適切な⾼さまで切り下げる必要があります。あまり
に古いものは経年劣化により耐⼒がなくなってきているので⾮常に危険で、古い塀まで壊
して新しく建てた⽅がいい場合もあります。解体⼯事の際に処理しておけば、あとから別途
⼯事をする必要がなくなり、結果的にコストを抑えることができます。

⽔路や側溝の境界線にも注意

さらにこの物件は、敷地の両脇を⽔路が通っています。この⽔路に関しても、⾃⾝の所有物
なのか隣家の所有物なのか、もしくは共有なのかの判断が必要です。共有の場合(境界が⽔
路の真ん中にある場合)、もし⽔路の真ん中を解体してしまうと、⽔が流れなくなってしま
い隣家に迷惑がかかってしまいます。

塩⽥視点

「敷地の境界線があいまいな状態で建てられている建物もたくさんあります。むやみに解
体を⾏うとあとあと近隣の⽅とトラブルになり、追加⼯事が必要になったり、原状回復や損
害賠償を請求されてしまうことも考えられます。また、フェンスや塀の種類によって耐⼒が
異なるため、解体時にも⼗分な配慮が必要です。こういったトラブルを予⾒し、必要であれ
ば近隣住⺠の⽅と話し合いに参加したり、適切な説明を⾏うことのできる解体業者に依頼
すると、トラブルになる可能性も少ないので安⼼です」

2、周辺環境のチェック─費⽤が⼤幅に変わる道路幅

道路幅で⾒積もり額が変わる

解体⼯事の際、敷地へとつながる道路や、敷地周辺のスペースがどのくらいあるかは、解体
⼯事で出た⽡礫やゴミを搬出するためのトラックや重機が通れる広さかどうかという点で
⾮常に⼤きなポイントです。
通常、⼗分な広さのある道路に⾯している場合は、4トントラックを使⽤して⽡礫やゴミを
運び出します。しかし、今回の物件の場合、敷地へ向かうための道路が⾮常に狭く、4トン
トラックはおろか2 トントラックも通⾏が難しいほどと予想されるため、軽トラックを使
⽤するしかありません。

軽トラックと4 トントラックでは⼀度で運べるゴミの量が⼤きく変わるので、その分、⼯
事期間が⻑くなります。⼯事期間が伸びると、スタッフの⼈件費、⾜場や防⾳シート、重機
のレンタル費⽤などが増えることになり、解体費⽤も嵩みます。
通常1〜2 週間で完了するところ、この建物の場合は3 週間〜1 ヶ⽉ほどの⼯事期間が必要
と予想します。

塩⽥視点

「この物件で 4 トントラックを使うことができれば、⾒積額は170 万円ぐらいです。しか
し実際には軽トラックしか乗り⼊れることができないため、1.5〜1.7 倍くらい費⽤が⾼く
なる可能性があります。また、解体だけでなく、解体後に駐⾞場にしたり新しく家を建てる
場合には、同じようにトラックや重機の搬⼊が必要となります。通常よりも⼯事期間・⼯事
費⽤ともに⾼くなる可能性もあり、道路幅は解体後の⼟地利⽤まで⾒据えて考えるべき重
要な要素です」

3、近隣家屋との距離――⾜場が⽴て幅か

解体⼯事に必須の⾜場。防塵・防⾳のための養⽣シートを設置するだけでなく、屋根⽡や外
壁の解体を⼿作業で⾏う際の作業床や、解体資材の⼀時置き場、安全のための作業員の移動
経路になるなど、法律上の安全基準を守るために⽋かせないものです。
通常、⾜場は敷地内に建てるものですが、建物が隣家との境界線ギリギリに建てられている
場合には、隣家の敷地内に⾜場を組ませてもらうなど、隣家に協⼒を仰ぐ必要も出てきます。

例えばこの物件の場合、家屋⾃体は隣家とのスペースに問題はありませんが、建物の横に建
てられているプレハブ倉庫が、外壁ギリギリに建てられています。そのまま解体を⾏うと、
⽡礫や粉塵が隣家の庭に散乱することになるため、⾜場は必須。⾜場を建てる場所がないた
め、隣家の敷地内に⾜場の設置をお願いすることになります。

塩⽥視点

「普段隣家と良好な関係を保っていても、⼯事による不安や作業中の対応などで、隣家の⽅
からお叱りを受けたり、「敷地に⼊る話は聞いてない」などと⾔われてしまうことも。トラ
ブルの際、お客様ご⾃⾝で隣家と話し合いを持たれるのももちろんいいのですが、万⼀のこ
とも考え、⼯事責任者が⼀緒に隣家に伺って、きちんと作業内容を説明できればトラブルを
最⼩限に防ぐこともできます。解体業者を選ぶ際には、万が⼀の際にどこまで対応してくれ
るのかを確認しておくと安⼼ですね」

4、建物内部のチェック─リフォーム済み物件の落とし⽳

外観だけではわからないのが、建物内部の状態です。この物件は、数年前に以下の箇所をリ
フォームしました。

  • 壁・天井のクロス張り替え
  • キッチンを新調
  • キッチン上の棚の新設
  • 壁の修復

過去にリフォームを⾏っている場合、外観からは判断できない新しい建材が出てくる可能
性があります。また、壁が⼆重になっていたり、天井や床に新しい材料が重ねられていたり
するなど、内装すらも⾒た⽬では判断できないことも。建材の種類が異なると、分別して廃
棄する必要があるため、ごみの処分費⽤が⾼くなります。
こうした内部の状態は、実際に解体を始めてから判明することも少なくありません。現地調
査の段階で、こうした建材の種類をしっかりとチェックされていないと、⼯事が始まってか
ら追加料⾦を請求されることもあります。

塩⽥視点

「ネット上で住所を⼊⼒するだけで簡単に⾒積もりを出してくれる、⼀括⾒積もりサイト
はとても便利ですが、外観だけでは判断できないこともたくさんあります。解体⼯事は、現
地調査が必須。実際に⼯事を⾏う業者がしっかりと内部を確認した上で、正確な⾒積もりを
出してもらうことが、後々のトラブルを防ぐためにもとても重要です」

知っておきたい!解体⼯事で⾒落としがちな費⽤や近隣への配慮

解体⼯事というと、建物本体を壊す費⽤ばかりに⽬が⾏きがちですが、実は意外な部分で費
⽤が発⽣したり、想像以上に近隣への配慮が必要だったりします。ここでは、⾒積もりを取
る際に⾒落としがちな費⽤や、解体⼯事をスムーズに進めるための配慮ポイントをご紹介
します。

解体費⽤の違い──意外!平屋の⽅が⾼くなることも

⼀般的に、解体費⽤は床⾯積に応じて計算されます。そのため、2階建ての⽅が解体費⽤が
⾼くなると思われがちですが、建物の⾼さが通常よりも⾼く設定されている平屋の住宅の
⽅が結果的に費⽤が⾼くなることも。
平屋の場合、通常の住宅に⽐べて1.5階建てくらいの⾼さがある建物が多く、建物の体積が
⼤きくなると、それだけ廃材の量も増えます。また、⾼さがある場合は⼈の⼿でバラしなが
ら作業を慎重に進める必要もあるので、重機で⼀気に解体することが難しく、同じ⼤きさの
敷地なら平屋の⽅が解体費⽤が⾼くなる傾向にあります。⾒た⽬だけで判断せず、実際に建
物の⾼さや構造をしっかり確認することが⼤切です。

建物部分以外の解体──アスファルト舗装の撤去費⽤

敷地内にアスファルト舗装がある場合、その撤去費⽤も考慮する必要があります。⼀⾒する
と「舗装を剥がすだけ」と思われがちですが、実際にはかなりの費⽤がかかります。

駐⾞場を解体する場合

  • 舗装部分 約300平⽶
  • アスファルト 厚み5センチ

300平⽶に厚み0.05メートルを掛けると15⽴⽅メートル。これにアスファルトの⽐重2.35
を掛けると、約35.25トンのアスファルト廃材が出ることになります。
アスファルトの処分費⽤の相場は、1トンあたり約4,000円程度。この広さの駐⾞場の場合、
処分費だけで約14 万円が必要になります。さらに、撤去の作業費⽤を15 万円程度、消費
税と諸経費を⼊れると、最終的には70〜80万円程度の費⽤がかかる計算になります。
アスファルト舗装の撤去は、建物本体の解体とは別に、かなりの費⽤が発⽣する項⽬です。
⾒積もりを取る際には、こうした付帯⼯事の費⽤も忘れずに確認しましょう。

近隣への対応──近隣の⽣活リズムを把握する

近隣への配慮は、解体⼯事において何よりも重要なポイントです。サポートプランでは、解
体⼯事を始める前には、必ず近隣の住宅に⾜を運び、責任者がご挨拶をきっちりと⾏なって
います。この際、⼯事の内容や⼯事期間の説明をするだけでなく、近隣住⺠の⽅々の家族構
成や⽣活リズムを伺うことも⽋かせません。
例えば、夜勤がある仕事をされている家庭の場合は昼間の騒⾳に配慮する、⼩さなお⼦さん
がいる家庭には安全⾯の配慮や朝⼣の幼稚園の送り迎え時には⼯事⾞両の置き場所を考慮
するなど、きめ細かな対応が求められます。
近隣住⺠の⽣活リズムを事前に把握しておくことで、⼤きなクレームに発展するのを防ぐ
ことができます。こうした丁寧な対応が、⼯事後の近隣との関係を良好に保つことにもつな
がるのです。

塩⽥代表の妄想解体シミュレーションまとめ

今回の物件を通して⾒えてきた、解体⼯事における重要なポイントをまとめます。

・道路幅と重機・トラックの進⼊可否
・境界線・塀・⽔路の所有関係
・隣地に⾜場を⽴てる必要があるか
・リフォーム歴による内部構造の変化
・解体後の⼟地利⽤まで⾒据えた判断

解体⼯事は、⼀⾒すると「建物を壊すだけ」のシンプルな作業に思えますが、実際には現場
ごとに異なる条件を⾒極め、近隣への配慮を怠らず、法令を遵守しながら進める、⾮常に専
⾨性の⾼い仕事です。
もし解体⼯事をご検討されている⽅は、ぜひ複数の業者に現場を⾒てもらい、丁寧な説明を
してくれる業者を選んでください。価格や⼯事期間だけで選ぶのではなく、現場をしっかり
⾒てリスクを把握し、適切な⾒積もりを出してくれる業者こそが、信頼できるパートナーで
す。

お問い合わせはこちら
お問い合わせ・お見積り依頼
(電話対応時間 9:00~17:00/年中無休)
※お急ぎの方はお電話ください。