借地権を相続してしまうときの問題点とは!

解体工事 サポートプラン

大阪市Dさんからの仕事の依頼です。
お問い合わせがあり、早速、Dさんのお家で打ち合わせを行い、色々とお話をして今回の仕事内容が見えてきました。
大阪市某所のにある立地のいい70坪くらいの土地に木造2階建 床面積50坪 築40年 古民家風の住宅です。
(写真の提供は、Dさんの意向によりできませんでした。)
この敷地内に、物置小屋があります。物置小屋も老朽化しているため、屋根や外壁を修繕しなくてはならないが、費用も掛かるため解体したいとのことでした。
世間話もはさみ、これだけの土地であれば、相続対策はしなくていいのですか?と聞いたところ、少しずつ、自分について話をしてくれました。

Dさんは、77歳で17年前に在阪百貨店を定年して、ご隠居されており、奥様は2年前に他界されています。子供は娘さんC子さん1人で京都の方に嫁いでいるとのことでした。
この建物は、Dさんの持ち物だが土地は借地なので、全く相続対策なんて関係ないよ!
こんな感じでした。
私はいいます、それは違いますよ!

借地権は相続対象ですよ!
相続税の基礎控除は平成27年に改正されました。

3000万円基礎控除+600万円×相続人の人数
今回の場合、C子さん1人ですので、3600万円になる計算です。

Dさんは、建物は古いので価値はない。預貯金は、3600万も無いと。なので、税金は掛からないと。
私がいなくなれば、残ったお金で、家を解体して借地を返したらいいんだ。残ったものは、C子の相続だと。

ここが落とし穴です。他人の土地を借地して、建物がDさんの場合、借地権は相続する内容に含まれるのです。
すなわち、建物の所有者はプラスの効果 土地の所有者はマイナスの効果が帯びることになるのです。
つまり、土地の路線評価額の60%~70%が借地権に加算されるということです。
多くは、60%です。
土地の路線評価額が約4000万円
4000×0.6=2400万円が借地の価値となります。
建物の評価が0としても2400万円の相続金額に見込まれます。
預貯金+有価証券=3000万円ありますので
※配偶者からの相続があった場合、2次相続するときに遺産が増えてしまい、控除の3600万円を超えるケースが多く見受けられます。

2400+3000=5400万円の相続となります。
5400-3600控除=1800万円
1800万円について相続税を申告せねばなりません。
相続金額により税率は異なります。

取得金額     税率  控除額
1,000万円以下   10%   -
3,000万円以下   15%   50万円
5,000万円以下   20%   200万円
1億円以下   30%   700万円
2億円以下   40%   1,700万円
3億円以下   45%   2,700万円
6億円以下   50%   4,200万円
6億円超 55%   7,200万円

国税庁 相続税の税率
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/4155.htm

今回の場合は、15% ※細かい税金の計算はありますが、概ねの感じはこの税率です。

1800×0.15-50控除=220万円の相続税が発生してしまいます。
また、地主さんは亡くなられ、その息子さんが相続をして、現在の地主となっています。
先代の時の約束事ですが、Dさんが亡くなられたときは、更地返しにする取り決めとなっているそうです。
Dさんが小さい頃から、かわいがってもらい、とてもよくしてくれた先代の地主さんには、約束とおり更地返しでする気持ちです。

そこに解体費用も加わります。
今回の解体費用は、約200万円!
更地で返すのに、相続税が掛かるのか?
こんなことは知らなかった!
Dさんは呟きます。知らんという事は、救われないんやなと。

そうなれば、1人で住むには大きすぎ、使う部屋もリビングと寝室だけとのことです。
生前に整理した場合、解体費用がまるっきり浮いてきます。
Dさんは興味津々で、もう少し詳しく知りたいとのことでした。
税金は税理士さんが詳しいので、グルメ仲間にラーメン通の税理士がいます。
グルメ仲間のよしみもあり、無料での税務相談をしてくださりました。
このままで借地権を置いておくより、生前整理をされた方がいいのではないですか?
また、築40年で台風や地震で瓦のズレや壁も修理が必要となっています。
Dさんの気持ちが優先されますが、今の現状を反映したコンサルティングをしました。

少し、C子さんと相談をして近いうちに答えを出したいとのことです。
2週間ほどして、ご連絡がありました。
私がいなくなった後に、C子に後始末を負わせるのも責任の丸投げだとの思いから、生前整理をしたいとのことでした。
家の中の家財を整理 → 家を解体して → 借地を返却 こういった流れになります。
今回の業務は、淡々とすんなりと終わりを向かえました。

業務風景や整理記事について載せることはDさんから承諾が得られませんでした。
整理まで行き着いた過程についてはOKとのことでした。

C子さん家族と京都で一緒に住むそうです。

借地には、他人の土地だが、見えない租税公課があるかもしれません。

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